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新しいIVYの復活

 6月13日の読売新聞の朝刊に面白いコラムが出ていた。アメリカやヨーロッパで、あの「IVY(アイビー)」復活の傾向が強く出てきた。というのである。
 「IVY」といっても、園芸でいう「蔦」の意味ではない。日本では60年代に一世を風靡したメンズファッションのことである。
 ことの起りは、どうやら、アメリカの服好きが高じて、ニューヨークに渡った2・3人の日本人デザイナーたちが、現地にまだ残っていた工場や生地を探し当て、ここで作り上げた服が、昔なつかしいデザインなのだが、しわ加工やシルエットが今の雰囲気で、なつかし新しい(?)ところが、ペラペラのファストファッションばかりを見慣れたアメリカの若者の心を打ったのがきっかけらしい。
 この傾向は、何もアメリカだけのものではない。昨年あたりから日本に入って来た「フランクリン・マーシャル」と呼ぶイタリアのブランドなんか、実在する大学の本当のマークかどうかは分からないが、校章といい、雰囲気といい、まるで60年代そのままのキャンパスルック。とても高かったが、懐かしさに負けて、思わず買ってしまった。また最近、VANが昔作った「TAKE IVY」の版権がアメリカの出版社に買われたという。その内、英語版の「TAKE IVY」が出版されるだろう。
 一方、ワールドフォトプレス社の「モノマガジン」誌の8月2日号には80ページもの「IVY21(21世紀流のアイビー)」の大特集を組むという噂も流れてきた。これは、もう編集の大半は終わったというから間違いのない話だ。

 しかしここでよく考えなくてはならないのは、復活と言っても、昔のままそっくりではいけない。「ブルックス・ブラザース」前社長、ジョセフ・R・グロメック氏が私に言ってくれたように、「いくらなつかしがっても、今と昔とでは、ライフスタイルが大きく変わっているのだから、全く同じものがまた出て来て売れると言うことは有り得ない。」という言葉は、よくかみしめなければならないだろう。

「クールビズ」には仕分けが必要

「クールビズ」のシーズンがやってくると今から5年ほど前、このニュースをニューヨークのTVで見た時のことを思い出す。
正確に言えば、これは、日本時間の2005年6月13日のNHKの「お昼のニュース」がそのまま、ニューヨークで放映されているものだった。

この時のことを、私は流通専門誌「激流」の2005年8月号に執筆しているので、これを引用してみよう。
「(ニューヨークで日本時間)6月13日に放映されたNHKの「お昼のニュース」を見て驚いた。というのは、小泉首相とアメリカの有名映画監督スティーブン・スピルバーグ氏が会っているところが映し出されたのだが、スピルバーグ氏は黒い上着を着ているのに、小泉首相は上着なしのボタンダウンのワイシャツにノータイ。おまけに、若い通訳官まで首相に合わせて、ノータイ、ノー上着姿。アメリカでは、ビジネスウエアについてよく言われる言葉に、『人と会う場合に、きちんとして上質のスーツを着てネクタイを締めるということは、会う相手をリスペクト(尊敬)しているということを表現するため』というのがあるが、この二人の格好では、スピルバーグ氏が『軽くあしらわれた』と思うのではないかと、人ごとながら心配になった。
小泉首相は、かつてカジュアル・フライデーで社員が皆、オフィスでカジュアルでラフな格好になった時、アメリカでは、会社のエグゼクティズたちが、逆にそれまで以上にドレスアップしたということをご存知だろうか。
夏の着こなしにもクラスがある。平社員ならノータイ、ノー上着でもいいが、トップエグゼクティブや閣僚は、暑くても着崩してはいけないのである。」

しかし、この反響は別の面で大きかった。というのは、小泉首相の思慮の浅い思い付きのリーダーシップが、メンズファッション業界に売上不振という大きなリアクションになって現れたのだ。
「青山」や「アオキ」等の郊外型店からは、夏のスーツの売上の1ヶ月分が吹っ飛び、シャツ業界では価格低下が進み、もっとも悲惨なのはネクタイ業界だが、ノータイ運動によって売上が34%減になってしまった。
もちろん私も、全世界で盛り上がっている地球温暖化防止運動に反対しているわけではない。
しかし、大きな税金を使って従来あった夏の売上をブチ壊している、短絡的な「クールビズ」運動だけは、見直す時期に来たと思うのである。
今こそ、日本の男の着こなしを根本から仕分けする必要があるはずだ。
プロフィール

Author:I Shiro
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